黒酢中に含まれるアレルギー抑制物質の探索
<鹿児島大学・大阪大学との産学協同研究>
プロジェクトリーダー(企業責任者):福山物産
近年アレルギー患者が増加し社会的な問題になっているなかで、アレルギー抑制効果が示されている発酵食品の黒酢は注目されています。
未知の黒酢の構造及び機能を明らかにするため、鹿児島大学、大阪大学、(株)味香り戦略研究所との産学共同研究に取り組んでいます。
1.研究目的
近年アレルギー患者が増加しており、社会的に問題になっている。 この原因として、細菌成分への暴露機会の減少が影響するという「衛生仮説」が提唱されている。 そこで、人為的に細菌成分に暴露させ免疫応答を制御することが考えられ、プロバイオティクス食品などに利用されている。 しかし、その有効成分について情報は少ない。
そこで本研究では、アレルギーの抑制に関与する細菌由来の成分の解明と、高機能な付加価値商品の開発を目指して、アレルギー抑制効果が示されている発酵食品である黒酢に注目して検討を行う。 この際、研究責任者らの構造解析研究の成果をシーズ候補として利用して、この成分の構造および機能を明らかにする。
2.研究開発の概要
近年アレルギー患者が増加しており、社会的に問題になっている。 黒酢は、鹿児島県特産の醸造酢であり、経験的にアレルギーを含む疾患の改善に有効であるとされている。 しかし、その有効成分についての情報はない。
本研究開発では、黒酢の高機能化を目指し、黒酢のアレルギー改善成分の分離と、この機能性の解明を目指した。 その結果、黒酢から分離した画分が、アレルギーを改善しうる機能を持つことを明らかにした。
また、黒酢の酢酸発酵細菌の菌体からも同様な成分の抽出に成功し、その免疫学的性質と活性中心の構造を明らかにした。 本成果は、今後のアレルギー改善機能を持つ黒酢の開発に寄与するものであり、当初目標に値する。
3.総合所見
概ね期待通りの成果が得られ、イノベーション創出が期待される。 黒酢の抗アレルギー作用がvitro の系で検証され、又並行的に検討された市場調査での機能性黒酢製品の市場も確認されていることより事業化への展開も期待される。