純玄米黒酢(くろず)の効果・効能をご紹介します。純玄米黒酢に含まれるクエン酸は生活習慣病の原因のひとつであるコレステロール値を下げる働きを持っています。

中山貞男医学博士の研究

生活習慣病の危険因子に対する黒酢の影響

・中山貞男(昭和大学保険医学部) ・稲垣昌博(昭和大学富士吉田教育部)
・徳田和信(徳田クリニック) ・重久浩(福山物産)・真鍋厚史(昭和大学歯学部)
生活習慣病の危険因子に対する黒酢の影響

要約:健常人を対象として,血清中の総コレステロール(TC),HDL-コレステロール(HDLC),トリグリセリド(TG),血糖,尿酸,AST,ALT,γ-GTPに対する玄米黒酢(hRV)の影響を検討した。

男性20名,女性19名にhRV0.5ml/Kg/日を6ヶ月間摂取させ,1ヶ月に1回の血液・尿検査を行った。hRVの摂取を6ヶ月間継続し,hRV摂取前後7回の血液・尿検査をすべて受けた男性12名(平均年齢48.2±7.4歳)の結果を統計処理して表示した。

hRVの摂取でTCとHDL-Cの変化は認められなかった。TG,血糖,尿酸,AST,ALT,γ-GTPは減少傾向を示した。

血清TG値が152~443mg/dlを示した男性12名にhRVを2ヶ月間摂取させた結果ではTC,TGの減少とHDLCの増加傾向を認めた。血糖,尿酸,γ-GTPは危険率0.1%で減少を示した。

以上の結果から,hRVの継続的な摂取はいくつかの危険因子を改善し,生活習慣病の一次予防に役立つことが示唆された。

緒言

 鹿児島県福山町に伝わる壺造り静置発酵法で醸造された純玄米黒酢は日本農林規格で黒酢の表示が認められており, 健康維持・増進に役立つとして, 調味料や飲料に使用されている食酢である。

 玄米あるいは純米黒酢の生体機能に対する影響については動物モデルを用いた研究が進められ,これまでに高脂血症1,2),高血圧3,4),高血糖2),肥満2),胃粘膜損傷5)などの改善作用やカルシウム吸収促進作用6)と安全性試験7)の結果が報告されている。

 一方、人を対象とした黒酢の研究においても血中脂質と血糖値の低下作用と赤血球変形能の改善8),軽症高血圧者の血圧低下作用9),食後血糖値の上昇抑制10)などが認められている.しかし、同じ福山町の壺造り静置発酵法で醸造された玄米黒酢と純米黒酢でも,原料の玄米や精米の使用料と醸造期間が一定ではないから,生体機能に対する作用は異なると考えられることから,人を対象とした黒酢の機能性解明はいまだに十分とはいえない。

 そこで今回,玄米黒酢が生活習慣病の一次予防に役立つ可能性を検索するために,健常人を対象として,いくつかの危険因子に対する玄米黒酢の影響を検討した。

実験材料ならびに方法

1)実験材料

 玄米黒酢は日本農林規格で黒酢の表示が認められているつぼ仕込み静置発酵法で醸造された純玄米黒酢(hRV: 鹿児島 福山物産)を用いた.

2)対象者と方法

 年齢35歳以上(主として45~55歳)で,特定の疾患を有していない男性20名、女性19名を対象者とし、hRV 0.5ml/Kg/日を水で5~10倍に薄めて6ヶ月間摂取させた.摂取時間は食後、朝・昼・夕のいずれでも対象者の自由とし,1日量を1,2,3回のいずれに分けて摂取してもよいことにした. 6ヶ月間の実験終了後に、hRVの摂取を6ヶ月間継続し、hRV摂取前後7回の血液・尿検査をすべて受けた男性12名,平均年齢48.2±7.4歳を本研究の対象者とした.

3)検査項目

 対象者自身のhRV摂取による自覚症状として,疲労感,冷え,肩こり,食欲,便通などを毎日記録するとともに,体重,血圧・脈拍(デジタル血圧計使用)を測定し,記録表に記入してもらった.

 血液学的検査(赤血球数,白血球数,血色素,血小板,ヘマトクリットなど),血清生化学的検査(総蛋白,アルブミン,A?G比,総ビリルビン,AST,ALT,LDH、γ-GTP、総コレステロール(TC)、HDL-コレステロール(HDLC)、トリグリセリド(TG),尿酸,尿素窒素,クレアチニン,血糖),尿検査(糖,蛋白,ウロビリノーゲン,ビリルビン,ケトン体,pH,比重,潜血反応)は1ヶ月ごとに1回採血・採尿し,検査した.

4)倫理的配慮

 本研究は昭和大学保健医療学部倫理委員会の審査と許可を受けて実施した.対象者には本研究への参加は自由であり,いつでも参加を取りやめることができ,そのことで不利益を受けることがないこと,個人情報の保護などについて,口頭ならびに説明書を用いて説明を行い,書面にて同意を得た.

5)統計処理

 結果は平均値±標準偏差で表示した.有意差はStudent’sのt-testで検定し,危険率5%未満を有意差ありと判定した.


レポート英語版

文献

  • 1)谷澤久之,佐藤泰之,小松(芹田)明子,他:【マウスにおける米酢の急性毒性と脂質代謝に及ぼす影響について】
      栄食誌 36:283-289,1983.
  • 2)中山貞男,能瀬真奈美,和田久美子,他:【遺伝的糖尿病発症マウスならびにスクロース誘発高脂血症ラットに対する玄米黒酢の影響】
      昭和大学富士吉田教育部紀要 2:37-46,2007.
  • 3)大南宏治,松岡栄子,奥田拓道:【ラット(SHR)の血圧に及ぼすくろずの作用】
      基礎と臨床 19:5177-5181,1985.
  • 4)中山貞男,斎川真聰,山浦 卓,他:【自然発症高血圧ラット(SHR)に対する新黒酢の影響】
      薬理と臨床 11:567-573,1993.
  • 5)中山貞男,真鍋厚史,稲垣昌博:【実験的胃潰瘍と小腸運動に対する玄米黒酢ならびに大豆粉末-玄米黒酢混合物の影響】
      昭和大学富士吉田教育部紀要 2:47-55,2007.
  • 6)多山賢二,西澤直行:【食酢の健康機能-カルシウム吸収促進効果】
      日本醸造協会誌 94:792-796,1999.
  • 7)中山貞男,小川竜平,今坂俊介,他:【純玄米酢の急性毒性と胃・十二指腸粘膜に対する影響】
      基礎と臨床 27:3107-3115,1993.
  • 8)藤野武彦,有吉恭子,牧角和宏,他:【醸造酢の人体の血中脂質,血液レオロジ-に及ぼす影響】
      健康科学 10:85-89,1988.
  • 9)梶本修身,大島芳文,多山賢二,他:【【食酢配合飲料の正常高値血圧者および軽症高血圧者に対する降圧効果】
      健康・栄養食品研究 6:51-68,2003.
  • 10)稲毛寛子,佐藤由美,榊原章二,他:【健常な女性における食酢の食後血糖上昇抑制効果】
      日本臨床栄養誌 27:321-325,2006.
  • 11)伏見宗士,大島芳文,岸 幹也,他:【食酢飲料の血清総コレステロールに及ぼす影響および安全性の検討】
      健康・栄養食品研究 8:13-26,2005.
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